2014年11月17日月曜日

【開催レポート】「売上データ分析セミナー」


EXCELでここまでできる「売上データ分析セミナー」
~利益を生み出す「データ分析力」を身につける~


IT技術の進化により、膨大な購買データやアクセスデータ等が日々蓄積されるようになってきました。これらのデータを蓄積する目的は、企業が競争力を高め、利益を上げるために利活用することです。

このようなデータ利活用の促進を狙いとして、IT業者や県内事業者の方々を対象に、売上データや身の周りにある外部環境データと、普段使っているExcelを使用し、マーケティング戦略や売上計画の立案に活用するためのセミナーを開催致しました。


講師は、多角的なデータ分析、予測分析からシミュレーション方式の経営戦略・計画策定・施策策定を専門としている㈱APMコンサルティング代表取締役の吉田充氏です。


講師 吉田充 氏


◆日時:20141113() 10:00-17:00
◆会場:八戸市総合福祉会館 研修室 (青森県八戸市根城八丁目8-155
◆定員:30名(参加者27名)
◆参加費:無料
◆主催:青森県
◆企画運営:株式会社サン・コンピュータ

※本セミナーは、青森県「ITビジネスアイデア開発支援事業」により開催致しました。


<プログラム>

10:00-12:00
1.売上計画作成の考え方
2.売上計画で管理すべき数字とは何か
3.「売上計画の立て方」の基礎知識

12:00-13:00
昼食

13:00-15:00
4.商品ライフサイクルからの売上計画
5.売上予測値からの売上計画
6.外部環境データからの予測値を活用した売上計画
7.適正価格からの売上計画
まとめ

15:00-17:00
質疑応答、補足講義


<イントロダクション>

経営計画の策定に重要な数字となる「売上予測」。そのベースとなるのは、基幹システムや販売管理システム等、企業が保有する情報システムに蓄積された「過去の実績値」です。それに加えて、自社の売上に影響するデータ(内部データ・外部環境データ)も集め、分析に加えていくことで、より精度の高い予測が可能となります。

冒頭では、徹底して売上予測分析を行っている企業の事例紹介がありました。何と、90数パーセントの精度で予測できているそうです。

これだけの精度で予測できれば、効率的な人員配置やムダのない生産、営業計画ができる。売上増大やコスト削減につながりますね。

ポイントは、「どういう変化が起こっているのか?」「お客さんがどう行動しているか?」をデータから読み解くこと。これまでの勘や経験、常識で判断した結果、大きな損失につながってしまった事例紹介もあり、身につまされる思いがしました。
世の中がどんどん変化していく時代だからこそ、変化をとらえ、未来を予測するデータ分析力が必要なのですね。




<売上データ分析とは?>

午前は、「売上計画の立て方の基礎知識」についてのレクチャーです。

「前年比120%の売上を目指す」は、「目標数字」であって「予測値」ではない。
予測値=予測式を作ること。
この予測式に当てはめて、初めて予測値を算出することができる。
そして説明変数(売上に影響する変数)がどれだけ増えると、目的変数(売上)がどれだけ増えるかを予測することができる。

この説明変数(売上に影響する変数)に、自社でコントロールできる要因が多く含まれているほど、売上を上げるためのロジックを組み立てることができますね。

予測式を作ると聞くと何やら難しそうに感じますが、実はExcelの機能を使うと、簡単に予測式を求めることができるのです!
Excelアドインの「分析ツール」、これを使いこなせると、Excelの活用レベルが格段に向上するそう。これは是非、使ってみたい機能ですね。




また、「曜日」や「天気」といった、質的な変数を予測式に組み込むためのテクニックを学びました。
専門用語では「ダミー変数」というのですが、1と0で表すことがポイントです。




午後からは、より具体的な分析手法について学びます。

<ライフサイクル曲線>

売上データ分析をすることで、予測値の算出以外にも分かることがあるそうです。
それは、ライフサイクル曲線。
どんな製品、商品もライフサイクルというものがあり、「導入期」「成長期」「成熟期」「衰退期」の4段階を経ながら、凸字型のカーブを描きます。

自社商品がライフサイクルのどの段階にいるかで、打つべきマーケティング戦略が違ってくる。商品のライフサイクルに合わせた戦略を取るという方法以外に、企業がライフサイクルをコントロールする事例の紹介も。ユーザーにとって嬉しいとは限らないバージョンアップ、実はこんな理由があったのですね・・・。




<相関分析>

そして、売上と説明変数(売上に影響する変数)との間に関連性があるかをチェックする「相関分析」。
この相関分析は、多くの分析手法の土台となっている考え方。あの有名な「紙おむつと缶ビールはよく一緒に売れる」事例やAMAZONの「おすすめ商品」で使われているバスケット分析も、相関分析の考えが基本になっているそうです。

この相関分析で気を付けなければならないことは、「相関関係」と「因果関係」を区別すること。ついつい、関連性がある=原因と結果だ、と混同してしまいがちですが、ここはよく注意して考えなければならないことが分かりました。


<重回帰分析>

さらに、複数の説明変数(売上に影響する変数)から売上を予測するための手法である「重回帰分析」のレクチャー。ここで重要となる、回帰係数やR二乗値の解釈の仕方を学びます。

注意が必要なのは、多重共線性(通称マルチコ)の問題。説明変数同士の相関係数が高いと、結果を正しく推計できなくなるような悪影響をもたらしてしまいます。このマルチコを回避する対策も教わり、分析のレパートリーがグッと増えましたね。




<質疑応答>

いよいよセミナーも、終盤戦となってきました。
ここで参加者からの質疑応答コーナーです。

参加者の質問から、自社の売上に対する貢献度の高い顧客を分析する手法についての解説がありました。
一般的に、新規顧客よりも既存顧客の売上を伸ばす方が効率が良い。特にシェアが高い顧客を発見することが基本的考えです。

PPM(製品ポートフォリオ・マネジメント)という、成長性と市場に占めるシェアを基準に、優先順位を付ける考え方がとても参考になりました。

その他にも、質問者の業種・業態に応じたアドバイスをいただき、事例等を交えて分かりやすく説明していただきました。




<まとめ>

最後に、講師から自社でデータを分析し利活用するためのポイント指南です。

◆外部環境データだけでなく、自社でコントロールできる内部データ(販促費や営業活動等)をどれだけ持っているかも重要。
◆データ(数字)だけではなく、現場の人と話をして定性情報を入れていくことで精度を高めることができる。
◆できるだけ単純化してシンプルに考えること。データを集めすぎても、時間がかかりすぎて有益な予測モデルはできない。
◆商品別に、時系列にデータを管理する。分析用のデータを簡単に取り出せるようになっているかも大切。
◆地道にデータを蓄積し、重要な変数を明確化して分析を続け、精度を上げていく。
◆まずはExcelに落としてやってみる。実践することで見えてくるものがある。


【参加者の感想】(受講者アンケートより)

◆外部環境データからの予測値を出す方法は自社と類似性があり、役立つと感じた。
◆基本マーケティング研修でありながら、エクセル利用応用も加味されている点が良かった。
◆製造業として在庫を減らして利益を上げる為にどうすればよいのかを考えようと思った。
◆これだけ細かく具体的にやって頂ければよく分かる。別途テキストでも確認できるので安心感がある。
◆現在社内で必要としているデータが今回のセミナーの内容を使って作れそうなので、とても興味深い内容だった。


運営スタッフにとっても、普段使っているExcelで、できることがこんなにあるんだ!と気づかされるセミナーでした。
受講者の皆さまの職場や業務にご活用いただくヒントとなれば、スタッフ一同誠に幸いです。

今回初めて八戸に来て下さった吉田先生、そして終日のセミナーにも関わらずご参加いただいた受講者の皆さまに、厚く御礼申し上げます。


ITビジネスアイディア開発支援事業」では、IT業界のみならず、ITを活用する県内事業者の皆さまのお役に立てるようなセミナー、イベント等を今後も企画・開催予定です。

皆さまのご参加を、心よりお待ちしております。

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