2014年11月21日金曜日

【参加レポート】岩手SDM研究会2014Vol.9『コメ販売イノベーション』

テーマ:お米の高付加価値販売の実現

◆日時:2014年11月14日(金)18:15~21:00
◆会場:岩手県盛岡市(国立大学法人岩手大学内 盛岡市産学官連携研究センター)
◆参加者:農業従事者3名、学生3名、
◆株式会社サン・コンピュータより3名(小川、相馬、川守田)他 10名
◆主催:岩手SDM研究会
◆企画運営:株式会社CCL


<タイムテーブル>

1815 インフォメーション『イノベーション対話とは』
1830 インプット『コメビジネスの現状と課題、高付加価値の販売事例』
1900 ブレインストーミング『お米を買うとどんな気持ちが生まれているか』
1900 2×2『お米を購入する時の幸福感・心のハードル分析』
1930 休憩
1940 ブレインストーミング『お米を食べる人はだれか』
2000 アイディア形成対話①『お米のパッケージを変えてみる』
2020 アイディア形成対話②『お米の売り方を変えてみる』
2040 アイディア形成対話③『お米×サブカルチャーで付加価値は上がるか』
2100 終了





(1)インフォメーション『イノベーション対話とは』
まず、これからワークショップを進めるにあたって、どのような考え方で臨めばよいのか、次のような説明がありました。

・システム思考×デザイン思考=イノベーション思考
・共感することが重要である
・与えられた大きいテーマを解決するために、なるべく細かく問題を考える
 (木を見て森を見る)
・勘ではなく理論的視点で考える
・発散したアイディアを収束させる(整理する)

(2)インプット『コメビジネスの現状と課題、高付加価値の販売事例』
まず、コメビジネスの現状と課題について、次のような情報共有が行われました。

・米価の下落傾向が続き、2013年の12,350円/60㎏から、2014年は8,810円/60㎏にまで下落している。(1ha当たりの売上額は、約792,900円)
・過剰供給により米価が下落している。
2018年には食用米生産に対する補助金は廃止され、飼料米等の「食用外」の米をつくる農家に対し、1haあたり最大約100万円の補助金導入が見通されている。
・日本は、食用の米を国が買い取りながら、米価を高く維持する政策を進めることで米農業を維持してきた。近年になり、より直接的に食用米の流通を低減する動きが顕になってきている。
・食用米主体の農業経営を維持していくには、生産コストを下げ、販売量や価格を向上させることが重要である。

(3)ブレインストーミング『お米を買うとどんな気持ちが生まれているか』
米を買う時にどんな気持ちになるか、2つのグループに分かれてアイディアを出し合いました。
例:(安すぎるとき)大丈夫かな、友達におすすめしたい、高い、重いなど

(4)2×2『お米を購入する時の幸福感・心のハードル分析』
前のブレインストーミングで出たワードを2×2という手法で整理しました。
縦軸として課題⇔魅力という軸、横軸として楽しい⇔つらいという軸を作り、
どこに位置するかを考える作業です。
次に、そのワードはどんな幸福感を意味するのか、より具体的に書きだしました






(5)ブレインストーミング『お米を食べる人はだれか』
前に出たワードについて、実際にどんな付加価値を付けられそうかアイディアを出し合いました。
例:冷めてもおいしい⇒冷めたらおいしい
   無洗米、おしゃれの味方⇒ネイル米
   高い⇒限定(数、チャネル) など

(6)アイディア形成対話①『お米のパッケージを変えてみる』
・どんなパッケージにしたら米が売れるか、アイディアを出し合いました。
例:ペットボトル、ガラス、ランドセルなど
・次に、最近見て気に入ったデザインはどんなものか意見を出し合いました。
 例:アップルのマーク、星など

(7)アイディア形成対話②『お米の売り方を変えてみる』
どんな米の売り方ができそうか、アイディアを出し合いました。
例:誰かの紹介がないと買えない、移動販売など






(8)アイディア形成対話③『お米×サブカルチャーで付加価値は上がるか』
自分が好きなコンテンツ(ゲームやテレビ番組等)は何か、意見を出し合いました。
例:妖怪ウォッッチ、TwitterLINEスタンプなど

(9)アイディアシート作成
アイディア形成対話で得られたワードからどのようなアイディアが創出できるかを検討しました。前段に話し合ったお米を買う上での「幸福感」や「付加価値」からキーワードを一つ取り出し、アイディア形成対話で得たワードを組み合わせることで新たなパッケージ・デザイン性・販売ルートを持ったお米ビジネスを考えました。このワークでは一人一案アイディアシートを作成しました。


<気づいたこと、感想>
今回のワークショップでは、農家さんがどのような悩み、課題を抱えているのかインタビューする時間が設けられました。そこでは、20haくらいの規模でなければ経営を維持していけない、JAに卸せば全量引き取ってもらえるが、自分で値段が決められない、コメの卸先はJA9割、直販が1割程度、直売の割合を増やしたいが自分でイベントに行ったり梱包や発送などの作業をしたりするのが大変なので難しいといった声がありました。農家さん自身、販売面について問題意識をもっていてもなかなか現状を変えられないという点に課題があるのではないかと感じられます。

<最後に作成したアイディアシート>
    限定というキーワードで付加価値を付けるために、誰かの紹介がないと買えないという売り方で、ガラス、砂時計型、星形のパッケージを使い、特別感、高級感を出す。
    JAS規格というキーワードと自動販売機を組み合わせ、ウォーターサーバーのような据え置き型の装置で精米したての米が購入できるようにする(グラム数、精米歩合は自分で設定することができる)。袋は光触媒加工で米が酸化しにくいものにし、シールかプリントで精米情報を印刷する。
などのアイディアが生まれました。

<お米の販路開拓のために考えたこと>
①全国各地で栽培されているお米の中から特定品種の需要を高めるために、品質向上や食味の追求だけでなく、消費者の記憶に残る要素獲得が必要であることが分かりました。
②アイドル性、コンテンツ性を付与することでブランドの露出を図るなど、消費者の目や耳に止まり、記憶に残る仕組みづくりを地域毎に考えていく必要があると感じました。こうしたプロモーションに関係する取り組みは、農家さんの専門性とは全く別の知識や経験が融合することでまだまだ発展させられると思います。ITシステムやアプリなども、これからさらに活用可能性を広げていくのではないでしょうか。



ワークショップで得られたアイディアをもっと細部までブラッシュアップできれば、より実現性のあるアイディアになるのではないかと感じており、大変勉強になるワークショップでした。

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