2014年11月7日金曜日

【開催レポート】介護に役立つ最新IT事情セミナー

11月4日(火)に青森市にて介護に役立つ最新IT事情セミナーを開催しました。

 青森県では、介護分野でのITサービスの創出を目指して、昨年度の新時代ITビジネス推進事業として、「介護×ITマッチングワークショップ」などを行い、ITを活用した県内での介護における課題へのアプローチを試みてきました。
 今回のセミナーでは、介護向けのITサービスを手掛ける竹下康平氏を招き、介護に役立つ最新IT事情を紹介するほか、介護に役立つITサービスを考える簡単なアイデアワークを行いました。


<開催概要>
異業種コラボでITサービス創出のタネを生む!
「介護に役立つ最新IT事情セミナー」

▼日時:2014年11月4日(火) 14:00-17:00
▼会場:ねぶたの家 ワ・ラッセ交流学習室3(青森市安方一丁目1-1)
▼主催:青森県
▼企画運営:株式会社サン・コンピュータ

※本セミナーは、青森県「ITビジネスアイデア開発支援事業」により開催いたしました。

<プログラム>
14:00     開会
14:00-14:10 あいさつ
14:10-15:00 基調講演
         竹下 康平氏(株式会社ビーブリット 代表取締役)
15:00-15:30 トークセッション
         竹下 康平氏、 原 亮(株式会社CCL 取締役)
15:40-16:50 アイデアワーク
16:50-17:00 各種ご案内
17:00     閉会

<基調講演>
「介護×IT 今まさに期待されるITエンジニアとは?」
講師:竹下 康平氏(株式会社ビーブリッド 代表取締役)

株式会社ビーブリッド代表取締役の竹下康平さん

▼イントロダクション
国もソフトウェア、ハードウェア問わず、介護へのIT導入で予算をつけるようになった。最近はクラウドよりも介護×ITの話をするケースが増えてきた。ITは介護に比べて、日々感謝されることが少ない業界。介護のほうはITとの懸け橋をする事業者がいない。自社では、介護業界の困りごとをなんでもやる。介護・医療・福祉の業界専門サポートサービス「ほむさぽ」を立ち上げ。事業者がもつあらゆる困りごと(トイレの水が止まらない、パソコンの操作方法を教えてほしい、エアコン壊れたなど)にNOと言わずに応えている。

▼ITから介護の世界へ
もともとド文系からIT業界へ。自分のテーマとして介護×ITに行きついた。転職先の業務で介護事業者を知って、はじめて認知症の老人やヘルパーの仕事をみて、施設のコンピュータのメンテナンスをしていた。そのうちアナログな現場への課題意識が芽生えた。自分の親のことを考、超高齢化社会に備え、介護分野で働きたいと思った。介護のプロの飯塚さん(マンガ「ヘルプマン」の主人公のモデル)とコンビを組んで、介護×ITでやっていく。
※参照:ASCII.jp「超高齢化時代を迎えた介護業界のIT化は「やりがい」がある」

▼日本の高齢化と身近になった介護
日本の高齢化率25.9%。4人に1人は高齢者。高齢者が3,296万人(2014年)いる。世界一の数字。どんどん増える。人口のピークは越えるが高齢者は増えていく。2050年には39.9%。昭和40年代は、子ども7人に対してお年寄り1人。介護は遠かった時代。介護の様子は、栄養失調や部屋への閉じ込めなど。いまは小規模の民家などで自由に出入りできるような環境。もはや介護は身近。青森県の高齢化率26.6%。町村部は3割突入。6,7年後の将来の全国水準。そこで認められるサービスが将来の日本で認められる。東北六県の高齢化率。青森は全国16位。全国1位は秋田県の30.7%。いずれの県も全国的には西側より高い水準。東京は2013年21.9%から2020年24.3%で324万人の高齢者。

▼ピンチなのかチャンスなのか
人が減って高齢者が増える。約半分が高齢者になる。支える労働者は3割、4割にしかならない。日本の未来を入っている東北の町村部。そこで受けるサービスが全国で必要になる。そこがチャンス。ITの力を発揮できるチャンス。ものづくりのいらない商売が力を発揮する。今持っているITの知識で、少しでもこの社会を過ごしやすくできないか。

▼介護周辺のビジネス
介護といえば、介護保険請求ソフト、介護記録ソフト、介護計画(ケアプラン)作成ソフト等々。計画を立てて、計画通りにケアをして、その記録を自治体に提出すると保険金が来る。そのフローにITが貢献している。いまは行政から保険がおりて支えられている。介護保険もある。しかし、高齢化でその財源がいつまで担保できるのか。将来は給料の半分を高齢者に出さないと食べていけない。保険制度を支える部分をITが担っているが、それでいいのか。

高いハードと高いメンテナンスで高額なサービスが多かったが、最近はベンチャーが出てきている。仙台のIT企業トレック「うぇるなび」。送迎サービス用の配車・運行計画支援システム。走行ルートの選定や利用者による満足度の評価システムもある。介護サービス検索「HELPMAN JAPAN」は、国交省が出している事業者の情報をベースに、検索結果を返していくサービス。異業種も乗り出していて、GREEは「介護のほんねニュース」を出している。

▼いままさに期待されるエンジニアとは?
技術<人脈(業界外)。こちらの常識は通用しない。お互いの常識が違いので、お互いのテリトリーがひろがる。さらに「<ビジョン(夢」多くの人たちの役に立てるのがIT。いまは10年前と違い、大企業でなければ利用・所有ができなかったコンピュータが簡単に利用できる世の中に。だれでも身に着けられる。データは落ちている。アイデアとビジョンを持った起業家が多数。もはや地方格差はない。言い訳でしかない。WEBビジネスやITビジネスは地域を選ばない。青森にITの力を。県外、全国、世界へ通じるビジネスを青森から。

(おまけ)
介護アプリで検索したら16個しかない。考えよう、みんなで!

<トークセッション>
・竹下 康平氏
・原 亮(株式会社CCL 取締役)

左:原 亮               右:竹下 康平氏

(原)
竹下さんと私は同世代で、第二次ベビーブームの最後のほう。高齢者というと親や上の世代を連想しがちだが、超高齢化のピークを迎えるときに高齢者なのは、実は我々の世代。自分たちのことを考えると、いまから備えないと恐ろしいことになる。

(竹下氏)
自分のために備えないといけないという危機感がある。2050年には私たちは後期高齢者。その時代には現役世代が少なく、自分たちは、人と人が1対1の介護を受けることはできない。ボタンを押せば必要なことができるような自動化も進めていかなければいけない。

(原)
青森県でも町村部は先駆けて高齢化が進んでいる。ここから全国に広がるサービスを生むチャンスだという話があったが、それら地域での何か具体的な取り組みはあるか。

(竹下氏)
町村部については、これからやっていく。町村部のデータを改めてみると、総人口が減って高齢者が増えている。数字で見ると、毎年1,000人単位で高齢者が増えている。青森県はこれらの数字が表にまとまっている。現状を知るいいデータで、危機感を読み取れる。

青森でいの一番で考えたいのは、最も高齢化率が進んでいて、日本有数の豪雪地帯であること。雪は介護の天敵。必要なときに駆けつけられない天候が発生する。たとえば北海道なども、隣家までキロ単位で離れているような豪雪地帯では、介護保険適用サービスを使えているのだろか。こうした地域で成功すれば、どこでも通用できるものが作れるのではないか。

(原)
東北はあらゆる社会課題が先鋭化して、かつ取り組みが鈍い部分もあって、「課題先進地」と捉えたい。その際、できる限り視点をローカルに絞っていくことで具体的な課題などが見えてくると思うが、どうだろうか。

(竹下氏)
実感しやすい距離感で見ることが大切。介護のエリアだと、国の施策では中学校区で見ている。中学校区くらいの範囲であれば、自分の頭でも変換しやすい。たとえば街を歩いたとき、商店街のお店にいるおじいさんは、いまどういう状態だろうか、など。そのくらいの距離感で物事、高齢者を考えていく。そういう範囲からサービスを生めば、そこから横展開できる。

(原)
リーンスタートアップの考え方にも通じる動きになる。

青森県は数字がわかりやすく整理されているという話があったが、県として力を入れているのか。

(県庁杉山氏)
青森県は、県の統計課の担当が頑張っている。

(原)
「HELPMAN JAPAN」のようなサービスでは、行政が持っている情報を、サービスの素材に使っている。行政などが持つ情報を、このように利用できる形にしようというのが「オープンデータ」と呼ばれる領域の話題だが、介護分野でのオープンデータへのニーズはどうか。

(竹下氏)
介護のニーズを見るときに、二つの視点がある。ひとつは、高齢者そのものを見る、あるいは高齢者の家族を見るためのサービス。この場合は、デイサービスや訪問介護事業者について調べるので、そうした情報が求められる。もうひとつは、介護される側の欲求を満たすサービス。介護に従事する人たちが円滑に事業を営めるようなサポートサービスを作る。自分としては、後者に力を入れていきたいと思う。

(原)
ふたつの視点が挙げられたが、後者の視点を持つ人は少ないのではないか。昨年の県主催で行われた介護×ITマッチングワークショップのハッカソンでは、参加者に介護事業者の方々がいたため、介護事業者向けのサービス案が出た。そうした視点でサービスを考えられる人は少ないのか。

(竹下氏)
とても少ない。介護に対して、ITの寄与できる部分が少ないという勘違いがある。そもそも介護業界に興味がない。関わりたくない。自分の家が大丈夫、隣やお向かいの家の話で済ませようと現実逃避をしている人が多い。しかし、親が2人いれば、長生きしていれば、どっちかがなる。

(原)
防災の分野でも同じ話が出る。自分や自分たちの地域だけは大丈夫だという根拠のない幻想があって、当事者としての関心が持てない。ITの事業者がもつべき内面的な要素として、自分が相手の分野に関わるチャンスを得た際に、当事者としての意識をどれくらい持てるのかという話になる。

(竹下氏)
そこに尽きる。竹下家でも父が同じ。祖父母は長生きして無事に亡くなった。父の兄弟も認知能力も低下なく生きている。だから自分の家系は大丈夫だと。根拠がない。話になる。意識が油断につながる。時代もライフスタイルも環境も違うところで育っているのに、DNAだけで認知症にならないというデータはない。実家に帰った際に、父には徹底的に介護の知識を叩き込んだ。母にも相談先の施設の説明をした。介護はひとごとになっている。

(原)
自分事としてとらえられないのは、自分がそうなってしまうのを想像するのが怖いから。

(竹下氏)
医療でもある。うちの親族には癌で死んだ人はいないからなどよく聞くが、そんな根拠はない。

(原)
どの分野にでもある。当事者として逃げてしまうと、かゆいところに手が届かないサービスが多くなってしまう。エンジニアに必要な要素として、「人脈を持つ」という話があった。IT業界はITの人たちで固まる傾向が、ほかの業界よりも強いように感じる。異分野の人たちと絡む動きは、周りのITの人たちにみられるか。

(竹下氏)
ほぼない。

(原)
他地域でこのテーマで開催されたときも、人が集まらなかった。なかなか関心が持たれない。こうした機会で外に対して人脈を拡げられないところに危機感を覚えるが、どうすればよいか。

(竹下氏)
だいじなことのひとつは、興味をもつ。直感的に感じられるメリットがほしい。自分の人生にメリットがある、具体的には、「メシがくえる」、「仕事がとれる」など。いろんな業界の集まりに出るが、IT業界の集まりだと99%が同じ業界。ほかの集まりだとそうではない。介護のコミュニティも多くあるが、保険のセールスなども含めて、ほかの業界の人がたくさんくる。他業界の人たち、考え方、人種。その人たちとの常識が違うことを知る。

ハードウェア業界の集まりでも、広告業の人たちがくる。IT業界はなぜないのか。IT業界のコミュニティは、ほかの業界の人たちからみて興味がわかない、魅力やメリットがないと思われているのではないか。「あいつらの言葉は難しくてわからない」など。

逆に、ITの人たちにとっても、介護のコミュニティに学ぶものはない。彼らにとって学ぶものと言えば、最新技術であり、「最近の技術イコール会社で活かせる」、「あの案件が担当できる」、というように、自分のメリットに直結できる。介護になると自分事にならない。「親もまだ介護から遠い」、「うちの会社は関係ない」など。興味を持たせるには、直接商売につながるようなものも作れないといけない。

(原)
異分野連携をしかけようとすると、相手側のコミュニティとつながるポイントが見えない。コミュニティ同士で交流をはかることはできないか。まぜて対話をする、かきまぜるフェーズが必要かと思うが、どのような場づくりが必要か。

(竹下氏)
青森のほうがやりやすい。東京などでは、100人のITコミュニティ、100人の介護コミュニティで、それぞれのコミュニティが成立してしまっている。そこで200人をかきまぜても、まともな議論はできないむしろ、地方で介護の若手5人、ITの若手5人くらいずつで定例ミーティングをやっていくほうが、イメージが作りやすい。

(原)
介護業界の側からも、ITやコンピュータは難しく、怖いものになっているのではないか。農業×ITでもまったく同じ話になる。ここは異分野連携の共有の課題なので、ITの側が頑張っていかないといけない。

竹下さんの基調講演に、「10年前とITの環境が変わった」という話が合った。以前は習得が難しく、高価だったテクノロジーが、身につけやすい、使いやすいところへ降りてきた。市民の力で社会課題を解決しようというシビックテックは、市民が課題を解決するために、自分たちでITを使っていく動き。プログラミングも、社会をよくしようとする人々の手で使いうるITのツールとして、だれでも学ぶことができる時代になった。

必要なテクノロジーが、課題を解決したい人のところまで降りてきた。非常に大きなチャンス。起業しやすい環境にもつながっている。介護の分野でも、降りてきてくれたテクノロジーを使って、サービスをたくさんつくるチャンスにつながってきているのではないか。

(竹下氏)
そうだ。

(原)
新しい技術では、センサーやロボットなども身近になってきたが、介護の分野として使いうるものなのか。

(竹下氏)
センサーは絶対にはやる。これからの介護サービスは、人海戦術が効かないので、センサーがないと今後10年以降の介護は無理。一方で、センサー技術を交えると、ITの側も個人でどうこうできる範囲を超える。なので、スモールスタートで行くなら、いらないかもしれない。センサーと言った瞬間に、ソフトウェア技術者にはハードルが高くなる。

手に取れる領域でやっていく。ITエンジニアが個人でやっていける領域であれば 近所の人が喜んでくれるなど、自分の欲求を満足させることで、サービス開発を持続できる。組織レベルで動いていくと、マネタイズの話も出て、考える範囲が膨大になるので、おススメできない。

(原)
ただ3年後、5年後を考えると、そうした技術も急速にやってくるのではないか。それでもまだ早いか。

(竹下氏)
タイムスパンで考えると3年、5年になる。ウェアラブルも増えている。

(原)
そうなると地元のIT事業者にとっては、数年後の備えとして触れておく必要なあるのではないか。

(竹下氏)
センサーの情報は絶対にキャッチしておいたほうがよい。電気屋で売られるレベルもので初めてみるとよい。マイクロウェーブセンサーや臭気センサーになると、メーカーが開発して組み込むようなものになると、ハードウェア事業者が取り扱う領域になってくる。

いまはソフトウェア技術者のほうがチャンス。自分で作らなくていいハードウェア、つまり電気屋で売っているものでAPIを作ってデータを見るなど。こういうことなら一人でもやれる。

(原)
ハードウェアの事業者からソフトウェアの人たちへのニーズはあるのか。

(竹下氏)
個別にはある。大手広告代理店が企画したハードウェア×介護のハッカソンがあった。ハードの人たちも考えている。ハードの人たちは、ソフトの人たちと会わないし、あまり話をしない。コミュニティレベルでの、ハードウェア・ソフトウェア・介護という集まりもない。

(原)
もったいない話だ。介護側から見ると、ハードもソフトも、どちらもITっぽい何か、ということで同じように見えるかもしれないが、システム開発とWEBデザインの間でもまったく交流がないのと同じで、ITと広く括られている中でも、お互いが混ざっていかないと、相手の分野に貢献できることが部分的になってしまう。

ソフトウェアの人たちもハードウェアに関心を持つべきだし、逆も同様。そこを自分たちなりに消化をして、わかりやすく噛み砕けるような言葉を出していかないと、介護業界の人たちに、ITが何をやっているか全然伝わらないし、相手からニーズをもらって打ち返しても、伝わらない可能性がある。

どの分野でもまったく同じ話になる。ITそのものが持つ課題だ。

「介護」と「青森」というフィールドでやることが、先のものを生み出すチャンスになる。

(会場から)
スモールスタートという話があった。閉鎖的な地域でサービスを展開しようとすると、受け入れられないと形を変えてやっていくという手法では、がっかりされてしまい、続けていくのが難しくなるのではないか。

(竹下氏)
シチュエーションによって異なるが、介護業界に対して「こうだろう」と思ってもっていっても、期待値に沿えず、改善をしてもダメだったといのはよくある話。失敗は成功のもと。失敗したプロダクト群をあっためてもっていて、青森県のその地域で受けなくても、受け入れられるほかの地域に展開できる可能性もある。そこであきらめるのではなく、できたものをWEBで公開して、全国の人に見られるようにして開放してしまう。

自分の地域でいいなと思ったものが、叩き方の不足もあって、必ずしも成果として生み出されなかったとしても、受け入れられる地域はあると思う。そこがソフトのよさ。青森で実証実験をして県外に売るという繰り返しになる。

介護では、「この機能だけ」「こういうアプリだけ」では使ってもらえない。「あれもできて、これもできて」となってインストールしてもらえる。ダメでもどんどんそろえていく。個人でできるレベルでも、複数の課題を解決するものを、ひとつずつ作っていく。5つくらいそろってきたときに、はじめて満足してもらえる。

(会場から)
そこで評価をしてもらえると、ターゲットの人たちに使ってもらえる。

(竹下氏)
その結果、外の地域で先に受け入れられていたものが、地元へ逆輸入という形になるかもしれない。介護アプリで検索したら、16個しか出てこなかった。自分が探してもそうだから、介護業界のITリテラシが低い人たちが探しても、それより多くは見つけられないはず。

多少ボロくても、いまは出せば価値。追っかけるのではなく、さきがけになれる。さきがけは強い。よくわからず5個、6個リリースすれば、それだけで目立つ。そこに先行者メリットがある

よくわからんけど先にやる。それで、いろんな人がついてくる。青森県でやりましたとすると、うがった目で見られるかもしれないけど、つながってくる人が出てくると加速度的に動き出す。介護業界のソフトウェアの世界は、まだ原始時代。1年後でも同じ状況だろう。

(原)
東北でIT、東北でアイデアソン&ハッカソンなど、わけもわからずにやっていると、一緒にやる人が現れて、まったく同じ状況になった。東北でのハッカソンは、震災復興で東京のエンジニアたちが持ってきたカルチャーだが、数時間見ただけで、岐阜県に開催を呼びかけた。40、50人集まって実績になり、東北でもあちこちから引き合いが来た。

よくわからないでも走ってみると、そこを目がけて人や情報が集まってくる。フィードバックをもって来てくれる人もいる。そこに最大のメリットを感じたほうがいい。めげずにやる。何か起こるまでやり続ける。

(竹下氏)
そこの一点だ。フォロワーはきつい。介護ソフトが100本ある中で、101本目を出しても勝てない。介護記録ソフトでも、古いソフトが強い。シェアが一番大きいのは、最初にやりはじめた会社のソフト。価格や機能で新参者が入って、コスト10%、クラウド活用などとやっても勝てない。

一番最初からやっているから、介護従事者の人たちも、転職してもほかの事業所で見たり、触ったりしていれば間違わないサービスという評価になる。なぜシェアNO.1かと言えば、最初にやったから。あとからいいものをたくさんもってきても、なかなか打ち崩せない。それならば、ぼろくて先に出したほうがいい。

(原)
最初にやった人はビジョンを持っているし、人脈も多い。技術以外のところの要素も持っている。ほかの分野に向けたものでも話は同じで、スピーディにやり続ける。

(竹下氏)
介護アプリでやっているところはまだ少ない、やっているところがあったら会ってみたい。

(原)
いま16個しかないところに5個出したら、すごいインパクトで、この会社は何なんだ?となる。介護業界で先駆的なことをやりたい人たちが情報を調べたら、その会社の名前が多く出てくる。露出という点では、いまは最初の食い込みが実は結構、簡単なのではないか。

(竹下氏)
いま介護×ITのテーマで話をと検索をすると、すべて自分に向かってくる。ほかに言っている人がいないから。自分の家族が介護状態になって介護を経験したエンジニアは、自分より介護を知っていた、話せるはずだが、それをテーマに打ち出していない。自分は一歩足を踏み出した。

「介護」「アプリ」で検索したら、自社や青森の情報ばかりが出てくるという状況になれば、県としてのアイデンティティも高まるし、社会貢献性の高いアプリを青森でやっている話を、県出身で東京で頑張っているエンジニアが戻るきっかけにもなる。そういう特徴づけが大切。

(原)
何か単体だと目立たないけど、そこに別な要素をかけ算することでオンリーワンになっていく。介護もそこのやりやすさが見えてきたのではないか。介護とITの相互の理解も難しさがあるが、交わるところを積極的にやりつつ、走りながらアプリをたくさん出していく。まずは5本出すところで先が見えてくるのではないか。

<アイデアワーク>
 ソフトバンクの感情認識パーソナルロボット「Pepper」を題材に、介護の現場で「Pepper」が果たせる役割について考えるアイデアワークを行いました。

       
         色々なアイディアを考え中です                他の参加者のアイディアも見て回ります

 まずは、自由にPepperにできそうなことは何かを一人10個を目標に考えていきます。
その後、周りの参加者の方々とアイデアを見せ合い意見交換をし、最終的に一人2つまでアイデアスケッチを書いていただきました。
 アイデアワークでは、Pepperが先に亡くなった家族の写真などを会話に応じて見せてくれるものや、利用者の散歩に同行し道案内してくれるといったアイデアなどが出ました。

皆さんにアイデアワークを体験して頂いたところで全プログラムが終了です。
ご参加いただいた皆さまありがとうございました。

今後もIT×異分野のセミナー・イベント等開催して参りますので、ご興味のある方は是非参加ください。

0 件のコメント:

コメントを投稿