2014年11月18日火曜日

【開催レポート】青森から考えるクラウドファンディング活用術セミナー

1117()に青森市にてクラウドファンディングのセミナーを開催しました。

プロジェクト実現のため、ネットを通じて支援を集める「クラウド・ファンディング」。
食品や服飾品などの商品開発や、映像制作などのクリエイティブ、復興活動や社会貢献など、さまざまな分野で、新しい価値や商品を生み出したい人たちによる支援集めの手段として広がりを見せています。

サイバーエージェント発のクラウドファンディング「Makuake」を立ち上げたサイバーエージェント・クラウドファンディング取締役の木内文昭さんを講師としてお招きして、サイバーエージェントが仕掛けるクラウドファンディングの狙いを伺いつつ、「青森から考えるクラウドファンディング活用術」と題して、クラウドファンディングを活用するための簡単なワークショップを開催しました。

<開催概要>
▼日時:20141117() 14001700
▼会場:OPEN WORK SPACE 9.01 (青森市長島2丁目1-5 みどりやビル9F
▼主催:青森県
▼企画運営:株式会社サン・コンピュータ

※本セミナーは、青森県「ITビジネスアイデア開発支援事業」により開催いたしました。

<プログラム>
14001440 クラウドファンディングについての講座
14501630 アイデアワーク
16301700 発表会

<クラウドファンディングについて>
講師:木内 文昭氏(株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング 取締役)
講師 木内文昭 氏

参加者のほとんどが「クラウドファンディング」という言葉は聞いたことがありました。
しかし実際に投資をしたことがある方はたった一名。
クラウドファンディングとはどのようなものなのか、実例を交えて勉強しました。

○クラウドファンディングのタイプについて
クラウドファンディングと呼ばれているものは4つのタイプがあります。
(1)寄付型資金を寄付として提供するタイプ。
(2)貸付型融資と同じようなモデルで、お金を貸して金利を付けて返すタイプ。
(3)株式型株式を通じて資金を投じる事がネットでも可能になタイプ。来年4月から施行される予定。
(4)購入型先行販売をするシンプルなタイプ。

株式型や貸付型に比べ、シンプルなEC型である購入型や寄付型の方が入りやすいとのお話でした。

○クラウドファンディングの実例
(1)草野球に特化したリュック
草野球に特化したリュックを作りたいというプロジェクト。
本業ではないので会社内でお金を出してやるのは難しい、需要があるかどうかわからないで銀行融資を取るのは難しい、といった時にクラウドファンディングを使ったという例です。

(2)十勝の映画製作プロジェクト
十勝を盛り上げるための映画製作プロジェクト。
映像とストーリーで十勝の魅力を紹介するということで始まったそうです。
十勝の市民など地元を巻き込んだ話題作りで500万円が集まり、現在撮影中とのお話でした。

(3)高知のふりかけプロジェクト
新商品をクラウドファンディングを通して出したいということでスタートしたプロジェクト。
話題を作ってスタートするのが大事であるということもあり、クラウドファンディングを選択したそうです。
さまざまなメディアで取り上げられ、高知の中でも知る人ぞ知る商品になりました。

(4)着せ替え時計プロジェクト
今年の5月に創業したKnot(ノット)という会社が立ち上げ、期間内に500万円を集めたプロジクト。
時計とベルトを別々に販売するという斬新なサービス。
SPA方式(商品の企画開発から販売までを行う業態)を採用したため、安く消費者に提供できるというのも魅力の一つです。
実施中もビジネスとして面白い面があったので、ファッション雑誌に掲載もらったり、Ustreamにて放送するなどしてメディアごとの発信も出来た、との事でした。

クラウドファンディングはどのようにしたら成功するのでしょうか。
プロジェクトを立ち上げるまでのストーリーやクラウドファンディングの目的をどこに置くかの実施検討、様々な特徴や魅力をどのように表現するかなど、検討を重ねた結果の成功だと木内さんは話していました。
プロジェクトを見てもらうまで・買ってもらうための理由づけをどうするかなどの話や、告知やスタートダッシュの構成などを話し合い、決めていったそうです。

プロジェクトを進めるにあたり、期間中に中だるみを作らないようにするのが注意点となります。
どんなプロジェクトでも必ず2~3つメディア向けに出せる話題があるので、いかに話題を作っていくかが大事になってきます。

Knotの後日談として、東急のお店から1か月間お店を出すことになったり、ビームスやロフトなど大手から取り扱いを受けたりしたそうです。
ユーザーがこれだけ買っている、クラウドファンディングでこれだけ投資受けたなども話題になってきます。

○クラウドファンディングを利用する価値について
クラウドファンディングを利用する価値とは一体何でしょうか。
木内さんは3つのポイントを挙げています。

(1)モノ+コト
ユーザーに直接投げかけて商品を作れるのが強みの一つです。
例に挙がったのは音楽アルバム製作プロジェクトでした。
さまざまな色の画像を提示、どのアルバムがいいかをファンに直接アンケートを取ります。
アンケートを基にアルバムのジャケットを決定する方式だったそうです。
消費者は作る過程に携われる感じがして、ますますファンになります。

(2)自分と支援者との距離に合わせたコミュニケーション
クラウドファンディングを通すと「支援をしてほしい」と言いやすくなります。
自分との関係性が近い人には「支援や購入してね」と言いやすいですね。
関係性がまあまあな人には「こういうのやってるから拡散してよ」程度は言えます。
関係性が遠い人には支援をしてほしいとは言えなくとも「ページを見てね」というのは言えます。
関係性が遠い人でも、期間限定で応援を生むようなページをみると応援したくなります。
プロジェクトをやるというのは、メディアに載るということなので、思わぬ人からの支援を受けること
もあるそうです。

(3)新商品 新規事業本格スタート
新サービスや新商品があった時、物によってはメディアに載るなどある程度話題になりテストマーケティングができます。
それだけでなく、話題になっていくとネット通販や大手販売店への取り扱い、海外展開のサポ ートが出来たりします。
話題作りをブースターとして、最初の資金作りができるというお話でした。

○クラウドファンディングを選ぶ際に意識したいポイント
クラウドファンディングを選ぶ際に意識したいポイントも教えていただきました。

(1)プラットフォームとしての機能
より多くの支援者にプロジェクトを見てもらうには、プラットフォームの機能も重要となってきます。
では、プラットフォーム選びにはどのような事が重要になってくるでしょうか。
ポイントは2つです。
スマートフォンで使いやすいか、情報が届きやすいかが重要になってきます。
移動中にさらっと見れたりそのまま支援できるものは、その分ユーザーに広まりやすい傾向にあります。

(2)決算手段
決算手段が豊富であるとお金が集まりやすい、と木内さんは話していました。
例えば決算手段がクレジットカードしかなかった場合。
支援者の中にはクレジットカードを使いたくないという人もいるので、そういった人からは支援が受けにくくなってしまいます。
決算手段を絞らず、さまざまな手段を用意するとよりお金が集まりやすくなります。

(3)インタラクティブなやりとりができる
新しい取り組みはなかなか応援が得られるか不安なところもあります。
そんな時に応援のメッセージをもらったり質問をもらったりできると励みにもなるしブラッシュアップにもつながります。
こういった面で、インタラクティブなやりとりができる事も重要になってきます。
Makuakeでは、アメーバのページも持っているので、キャッシュアウトなしで情報発信ができます。

その他にもSNSで拡散するものだと、面白いデータを切り取って拡散することは可能です。
記事を書いてもらえないかと付き合いのあるメディアに働きかけるなど、ニュースとして取り上げてもらうのも重要となってきます。

(4)サポートの体制
Makuakeでは、人力でのサポートに力を入れているとの事です。
クラウドファンディングをやったことがある人は世の中のコンマ数%もいないと木内さんは語っています。Makuakeはサポートに力を入れているので、できるだけ対面でページの作成方法からプロジェクトスタートまで支援しています。

ここで参加者から「プロジェクトが途中でとん挫することはありますか?」という質問が出ました。
木内さんによると、原則ないが、海外のものを日本に輸入する過程で審査にひっかかってしまってできなかったものはあったとの事です。
Makuakeの方でプロジェクトの審査をしてから実行に移すので、とん挫することはあまりないそうです。
クラウドファンディングをする上で、一番やってはいけないことは詐欺行為。
お金集めたのにできなかった、お金を返さなかったということはないようにしているそうです。



<アイデアワーク>
続いてはワークショップ。
「クラウドファンディングって意外とできるものなんだね」という感じを掴んでもらうのが目的のアイデアワークを行いました。

まずは一人ブレストです。
マンダラートというツールを使ったアイデア出しをしました。
どんなプロジェクトだったら面白いか、実際に成り立ちそうかを考えます。
テーマは「(自社の)やりたいこと」。
短い時間内でどんなアイデアが出てくるでしょうか…?

ブレストで出たアイデアをペアで発表しあいました。
ポジティブな意見や感想を伝えあい、自分がどのプロジェクトを考えるのかを決めます。
やりたいプロジェクトが決まったら、次はプランニングシートを書いていきます。
木内さんからプロジェクトを進めるにあたって決めなくてはならないことのレクチャーを受けます。

    どんなプロジェクト?
どんなプロジェクトを行うのか、5WHで書いていきます。
    プロジェクトの魅力を一言で
プロジェクトの面白い点、新しい点、人に共感される点を100字くらいで考えます。
    目標金額を設定する
  何に、いくらかかるかを考えたうえで、現実的な金額を設定します。
    誰がなぜ支援するのか
支援者は誰で、何人くらいで、どうやってプロジェクトを知ってもらうかを考えます。
    リターンについて
クラウドファンディングをやるにあたり、リターンの設定は必要不可欠となります。
支援候補者に響きそうなリターンは、いくらでどのようなものが用意出来そうか考えます。
 
プロジェクト発表の様子


プランニングシートが完成したら、再びペアで発表しあいます。
ここでも意見や感想を言い合います。
最後に参加者の中から代表2人が全体に向けて発表したところで全プログラムが終了です。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

ITビジネスアイデア開発支援事業」では、IT業界のみならず、ITを活用する県内事業者の皆様のお役に立てるようなセミナー、イベント等を今後も企画・開催予定です。

皆様のご参加を、心よりお待ちしております。

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