2015年2月4日水曜日

【開催レポート】基礎からはじめるiBeaconハンズオン講座&トークセッションin八戸

今話題の「iBeacon」ですが、今回は、聞いたことがあるけどよく知らない、クライアントからニーズがあったけどよく分からない、取り組みたいが開発フローが分からないといったお悩みを抱える方を対象に、開発ワークショップを開催致しました。
講師として有限会社トリガーデバイスの佐藤氏をお招きし、iBeaconの基本的な仕組みについて事例を交えて解説していただき、開発フロー、やらなくてはいけないことなどを勉強させていただきました。

<開催概要>
▼日時:2015年1月28日(水)Ⅰ部 10:00-17:00 Ⅱ部 18:00-20:00
▼場所:八戸市公会堂 2階小会議室

▼主催:青森県
▼企画運営:株式会社サン・コンピュータ
*本セミナーは、青森県「ITビジネスアイデア開発支援事業」により開催致しました。

▼プログラム
Ⅰ部
10:00-12:00  iBeacon解説セミナー(iBeaconについての解説)
12:00-13:00  昼休憩
13:00-14:30  開発ハンズオン(iBeaconを使ったコンテンツ開発の実習)
14:30-15:30  アイデアワーク(iBeaconの活用方法を考えるワーク)
15:30-17:00  プロト開発ワーク(アイデアワークで出たアイデアを実装)

Ⅱ部
18:00-20:00  トークセッション
                 ・iBeaconについての解説と参加者のみなさんを交えたトークを行いました

▼講師:佐藤忠彦氏(有限会社トリガーデバイス 取締役社長)
      村瀬真博氏(有限会社トリガーデバイス ソフトウェアエンジニア)

▼ファシリテーター:西本浩幸氏(株式会社デザイニウム)

<Ⅰ部 開発ワークショップ>
10:00~12:00 iBeacon解説セミナー
◆ iBeaconとは?
・Apple社が商標登録している技術である
・位置や距離を検知することができる
・Bluetooth Low Energy(BLE)を利用している
・エスティモート社がステッカータイプの小型ビーコンを発表し、ビーコンの用途拡大が期待されている(例:靴の裏、犬の首輪など)

◆ IoTとしてのiBeacon
・ソーシャルマシンの7要素
①ID
ネットワークの接続に使用する固有のID

②発見可能性
ネットワーク上で他のユーザーやデバイスから「見つけられる」ことができるか否か

③プレゼンス
対象となるソーシャルマシンがログインしているか、あるいはコミュニケーション可能な状態にあるか

④アクティビティ
ネットワーク上で行っている行動の説明

⑤ステータス
ネットワークに対して示す自分の状況説明

⑥アクセス
他のデバイスが、対象となるソーシャルマシンへのアクセスにおいてどのような特権を認められているか

・iBeaconの良さは、「プレゼンス」、「発見可能性」、「ID」のみをフォローしている点で、機能が少ない分扱いやすい。

◆事例紹介
・岐阜の観光地アプリ(美濃ビーコン)
 自転車に乗りながら観光ポイントをナビゲーション

(1)開発フロー
①デザインパターンの決定
・反応エリア(スポット)
・検出タイミング(フォアグランド、美濃市に入ったらアプリ通知)
・検出距離(5m)

②現場で実験
・反応エリアを満たすためのビーコンの配置
・ビーコンの設定(検出タイミング、検出距離の調整)

(2)問題点
設置場所に制限があり、設置許可をとるのが大変だった。
観光地特有の問題かもしれないが、商業施設でも店舗経営者とビルの所有者が違ったり、パブリックなスペースを含んだりしていることは多いので、設置問題は十分に検討する必要がある。


●iBeaconの注意点等
・iBeaconが持っている情報は少なく、自分のIDと出している電波の強さだけ。紐づけする情報はアプリのほうが持っている。
・電池交換などのメンテナンスについて、管理ソフトを使って担当者が巡回するというフローが必要かもしれない。(管理ソフトはある)
・ソフトウェア会社の方は、普通これほどトライ&エラーに工数がかからないので、その点は認識しておいたほうがいい。

佐藤氏(奥)と村瀬氏(前)

13:00~14:30 開発ハンズオン

◆『BeaconWorkshop』というアプリを使う
BeaconWorkshopとは、iBeaconに反応してコンテンツを表示するシステムのプロトタイピングツールで、ユーザーが作成したコンテンツを表示できる。(プログラミング不要、HTMLが記述できればOK)

◆自分で作ったコンテンツで試すには
① コンテンツを作る
② コンテンツを圧縮する
③ 圧縮したファイルをDropboxにアップロードする
④ BeaconWorkshopアプリからDropbox経由でコンテンツを取り込む

◆コンテンツ作成の手順
① コンテンツデータの設定
② ビーコン領域の登録
③ ビーコン領域と表示コンテンツの紐づけ
④ 表示コンテンツ作成
(配布するサンプルテンプレートは今回使うビーコン情報が設定済みなので、1~3の手順が不要)
※今回は一から作るのは大変なので、サンプルを変えるというやり方。

14:30~15:30 アイデアワーク
「八戸市を面白くするアイデアを考えよう」というテーマでiBeaconの利用場面を考えました。
・作業1)マンダラート
 1枚目…中央に「八戸市」と記入し、そこから思いつく場所をマスに記入していく。
 2枚目…1枚目の好きなブロックを選び、2枚目の中央ブロックに書き写す。
 すべてのブロックの中央に書き写したら、その周りにどんな情報があったらいいか
  (例えば「スーパー」に対して「セールの情報」など)を記入していく。
  
・作業2)アイデアスケッチ
 マンダラートから得られたアイデアの詳細や補足説明を記入する。

◆生まれたアイデア
・まちのウワサを集めるアプリ
 街を歩くとスマホに店や施設に関するウワサが貯まっていく(生活者、観光客)

・ホテル案内
 近くの店、施設に設置し、ホテルの位置、イベント等を表示する

・メニュー表示
 テーブルに着いたらメニューが表示される

・広告の品配信
 広告の品が置いてある付近を通ることでビーコンが反応する

・映画情報配信
 映画のパネルの前に来ると情報が配信される


西本氏(中央)





15:3017:00 プロト開発ワーク
アイデアワークで出たアイデアの試作品を作成しました。
上記のアイデアのうち、「メニュー表示」、「広告の品配信」、「映画情報配信」の試作品が作成されました。



<Ⅱ部 トークセッション>
ビーコン事例紹介(国内海外編)
・中国火鍋専門店 小肥羊
アプリでのオーダー受付、注文するユーザーの位置を特定するのにiBeaconを利用。
自分のスマホで注文できるのはとても便利。

・さがし愛ネット
認知症高齢者徘徊見守りシステム。
徘徊者がアプリックスのBeaconを身に付けることでBeaconが発する信号がその周辺のスマホアプリに検知されると、検知場所の位置情報をクラウドサーバーを通じて徘徊者の家族などに伝えることができる。

・京都市営バス
京都市交通局と公益財団法人京都高度技術研究所(ASTEM)が共同開発した「ポケロケ」を応用したアプリ。
このアプリはバスの接近を停留所のディスプレーに反映させ、バスを待っている利用者に知らせることができる。
これまでGPSでバスの位置が分かるようになっていたが、1分半ほどのタイムラグがあるのが弱点だった。これは既存の機能の弱点をiBeaconで補完したもので、低コストで済む。

会津若松の事例紹介
・Hack for Town in Aizu
  …商店街に設置したビーコンを活用して何かできないか?

成果物1)iMenu
 最寄りのビーコンを検知し、ユーザーがいる店舗情報を取得してメニューを表示するサービス。

成果物2)障がい者のための障がい物検知アプリ
 視覚障がい者の方にも安心して通りを歩いてもらうため、歩行禁止区域、滑りやすい道にビーコンを設置し、音声で通知するアプリ。

成果物3)リアル連携アドベンチャーゲーム
 町に逃げ出した姫を救い出すゲームで、通りに設置されたビーコンに反応すると謎解きの情報が得られる。

トークセッション~ビーコン活用のあらゆる可能性を考える
●八戸におけるビーコン活用について
(参加者A)
三社大祭の山車の前か後にビーコンを付けて山車の解説をすればいいのではないか。

(参加者B)
山車の音声解説もおもしろいと思う。ねぶたも同様にできるのではないか。
ただ、電波の飛ぶ距離を長くしなければ厳しいと思う。

(西本氏)
それに文化財に設置する場合は注意しなければならない。

(佐藤氏)
そのような場合はトップダウンが必要になってくる。

●なりすまし問題について
(佐藤氏)
なりすまし問題が起きている。Appleはセキュリティがかかっていない状態で出している。

(西本氏)
それを防ぐことはできるのか?

(村瀬氏)
そもそもなりすましで破たんするサービスはやるべきではない。
ビーコンありきではなく、既存のサービスにビーコンの機能をプラスするスタイルが望ましい。

●Android版について
(佐藤氏)
AndroidはOSで反応しないので、アプリが立ち上がっていないといけない。

(参加者A)
利用シーンでアプリを立ち上げてもらうしかない。

(参加者B)
自分が考えているのはスポットではなくゾーン。
商店街に入るときに立ち上げて、後はそれぞれの店の情報が随時入る状況。
個々の店では利用者がアプリを立ち上げる動機が弱いのではないか。

(西本氏)
Android利用者も見放さないようにすることが課題。

●メンテナンスについて
(西本氏)
ビーコン設置後のメンテナンスも課題。

(佐藤氏)
今はメンテナンスのためのアプリがあるが、実際現場を巡回しなければならないため、ビーコンの数が多くなるとそれすらも面倒になる。

(西本氏)
やはりメンテナンス要員が必要になってくると思う。


<感想>
iBeacon利用サービスを開発するにあたり、ビーコンの電波の届く距離やiOSの位置情報サービスの応答速度、精度など、実際に体験してみないと分からないことが多いようで、今回のBeaconWorkshopアプリを使用した開発ワークショップではそれらを手軽に体験できる非常に良い機会となったのではないかと思います。
また、豊富なiBeaconの活用事例や参加者の皆様のアイデアを拝聴し、八戸においても今後様々な場所、場面でiBeaconの活用が進んでいくのではないかと、期待感が高まりました。
講師の佐藤様、村瀬様、ファシリテーターの西本様、また参加者の皆様、ありがとうございました。

0 件のコメント:

コメントを投稿