2015年2月19日木曜日

【開催レポート】農業×ITアイデアワークショップvol.2

日本を支える重要な産業である『農業』は、今、大きな転換期にあります。栽培・収穫業務の自動化や販売手法の多角化が進み、コストカットや利益拡大等の観点からビジネスとしてまだまだ成長できる可能性が見えてきています。
一方で、地域ごとの課題を捉えた上で、「儲かる農業ビジネス」を考える時間がとても不足しています。青森県の農家さんが取りまとめた「農業の課題」を材料に、県内外の異業種企業が一同に会し、「農業」という地域ビジネスをより儲かる仕組みへと作り変えていくアイディア会議を開催いたしました。

<開催概要>
▼日時:2015年2月17日(火) 9:30~16:00
▼場所:農林総合研究所
    住所:〒036-0522 青森県黒石市田中82-9(青森県産業技術センター内)
▼定員:30名
 県内農業従事者の皆様、農業関連事業者様、学生の皆様、農業に関心のある皆様

▼主催:青森県
▼企画運営:株式会社サン・コンピュータ
▼協力:(地独)青森県産業技術センター 農林総合研究所・工業総合研究所

▼プログラム
09:00 開場
09:30 開会・挨拶
10:00 ブレインストーミング練習
10:30 話題提供の講話『儲かる農業実現に向けた地方・関東圏の取り組み事例』
有限会社まきの 代表 牧野基明氏
   『農業で儲けるための課題解決事例の紹介』
株式会社ライスボール 代表 鈴木貴之氏
 
11:30 対話チームの編成「栽培」「収穫」「流通」「販売」「ターゲット設定」
12:00 昼食休憩
13:00 インサイト発掘 『自分たちがアプローチできる課題は何か』
13:30 ブレインストーミング 『今持っているスキル・ノウハウ・人脈』
13:50 強制連想 『課題解決に向けたビジネス創出』
14:40 休憩
14:50 アイディアシート作成
15:00  ブラッシュアップワーク(ボトルネック式) 『課題を解決優先度で整理してみよう』
15:30 アイディアシート清書
15:40 発表 『構造化された課題とやってみたい・やってほしいこと』
15:50 まとめ・ご案内
16:00 終了




▼9:30~10:30 前回の振り返りとして
農業×ITアイデアワークショップvol.1にご参加頂いたチームごとの最終アイデアの説明。
【やってみたいこと・実現するために必要なこと・やりたくても出来ないこと・実現した時のメリット】
2015年~2020年タイムラインにまとめたもの。


▼10:30~12:30 話題提供『農業の課題解決の事例』
【鈴木貴之氏】


①出口からの戦略をとっている。販売先の確保→仕入→水稲栽培の順に展開してきた。
②魅せる農業を目指している。農作業もパフォーマンスとして表現したい。
・年に数回イベントにテナント出店し、餅つき(パフォーマンス)をしたり、おにぎりを販売し、年間契約客数を増やしてきた。
・イベントでの注意としては、コストを抑えること。
 関係ないものは売らない様にしている。
 チラシの効果は感じられる。
・100ha作付し2万俵売ることを現在の目標としている。
 そのためには売り先の拡大が必要であり、営業開拓活動中である。
・ネット販売について→注文数に期待をするのはナンセンス、その場合は過剰在庫につながる可能性が高い。飲食店と契約した場合は、出荷数量が安定し、目途がつきやすい。
・助成金等に関してはこんなに恵まれている産業はないと云えるが、モノを作って値段を決められない不思議な産業でもある。
 現状の米価下落や米の消費量の低下、就農者の高齢化など様々な課題を抱えているが、ピンチでもありチャンスであると云える。
・イベントは役所関係、観光協会等が開催しているものに応募し、出店するのが比較的楽。
佐々木さんの質問:期間は短期~長期あるが、はじめはどのくらいのイベントへの参加が
            お勧めですか?
鈴木さんの答え:初めは10日間くらいのイベントがおすすめ。
           場所は天候に左右されない東京ドームがおすすめ、雨天時、来場者増。


【牧野基明氏】
・継続可能な生産地との関係
・売り込みの仕掛け⇒買いたくなる仕掛け
・供給主導型⇒需要主導型
・売上単位の利益⇒顧客の生存利益
・短期的⇒長期的
◎お客様との強固な人間関係を築き上げる

◇農ツーリズムの企画例
米に関係するものを、定食として考えてみる。
米単体ではなく、様々なものを提案することで、他業種の生産者とのリレーションが生まれ、更に地域全体が活性するといえる。例→から揚げ(地鶏)果物(地域の特産)牛乳(地乳)。
ツアーでは、
・お米づくりを見せてあげる→こんな人が作っている。
                  顔が見えると安心する人柄に触れて応援したくなる。
・農作業のお手伝い→田植、草取り、案山子づくり、稲刈り。年間を通しての学びがある。
              酪農場・果樹園等での体験もツーリングに組み込む。
・ご自宅へ発送→パッケージは農家さん一軒一軒で変え特徴を持たせる様にする。
           スーパーに売っているお米との違いを感じてもらう。
           自分が栽培から刈り取りまでお手伝いした特別なお米であり、一緒に楽しい旅
           思い出も詰まっている。


・東京都内ではお米は作っていない。都会の子供は稲を知らない穂を知らない。一週間に二回小学校で授業をしている。
・面白いイベントに100人呼ぶことは出来るが、一日に100件営業にまわる事は難しい。
・加算金について
買取の際、農家さんの将来性を鑑みて投資をしている。丁寧な良い仕事を長く続けてもらえるように投資として少し高く(2500円程度上乗せし)購入することで、農家さんのモチベーションを上げる活動である。
・物産展はチームワークが大事 地域全体が一つにまとまって皆で頑張るべき
一店舗の暖簾は長続きしない。俺が俺がという販売では一般的には上手くいかない。
・家庭ごとの米別管理をしている、ある家庭では2週間で5kg、また他では3週間で5kgとコメの消費量をITを使い管理している
・仲間が増えて行くと、HPを自分に更新させて!米の販売をさせてほしい!という声がどんどん増えてくる。


イベント事例1: 運動から消費へ
・競馬場でダートマラソン(ランナー2000人)
・千葉県畜産フェア  畜産協会とのコラボ
  来場者に満足につながる事が大事
・地域の物産が賞品
さらに→街の飲食店、ショッピングセンター、温泉施設への誘致
(宴会等の事前予約、送迎バスの手配、サービス券の発行)
その他事例:ママチャリ4時間レース、ハワイアンフェスティバル、ふなばシル船橋を食べ歩いて楽しもう!

・プレイヤーが増えてくると固定の代表にはしない
・モチベーションのレベルアップが段階を踏み
・集めた人を面倒だけど、一過性にしないことは非常に大切なことである。


▼13:30~ ブレインストーミング
  『わたしたちが目指すべき農業とは?』
 ・デザイン思考×システム思考とは
 ◇ワークポイント
 ・やってみたい事に共感を付けてゆく。
 ・解決手法の背景にあるものを意識する。
 ・課題整理しながら考える。
 ◇まずはニックネームから
ニックネームをつけてワークに取り組みます。更にチーム全体にも名前を付けてアイデアワークに入ります。チーム名のお題は『儲かりそうなチーム名』由来も発表頂きました。
チーム A越後屋…インパクト!
     B株式会社ミライ…会社が儲かって明るい未来
     Cチーム土地ころがし…言わずもがな...。

▼14:00~ 農業課題の課題構造からのインサイト発掘・説明
『自分たちがアプローチ出来る課題は何か』

▼14:30~ 農業×ITアイデアワークショップvol.1チームA~G最終アイデアからのインサイト発掘
・前回のワークショップで作成した課題
【やってみたいこと・実現するために必要なこと・やりたくても出来ないこと・実現した時のメリット】
この課題をまとめたものに対し、課題の本質的な解決には何が必要か議論し、ピンクのポストイットでコメントしていきます。1チームごとに課題を見つめます。


はじめは議論が続きましたが、ひとつのコメントが出ると次々とアイデアが生まれていきます。
  
 


 

▼16:00~ テーマの選出
『自分達が今取り組むべき課題』
・インサイトの築きからテーマを選び、サービスや事業として仮定し肉付けしていきます。



▼16:10~ ブレインストーミング
・テーマに対して自分達が出来る事を緑のポストイットでコメントしていきます。


▼成果アイデアの清書
・企画の概要
・どのようなサービス(構想)かを3つくらいにまとめていきます。



▼成果アイデアの発表
緑字:自分たちが出来る事

チームA【越後屋】

28本の客船へのアプローチ
企画概要
~青森でなければ食すことができないものを船の食卓へ~

・どこへ話を?
県・船会社・ツアコン社
青森港国際化推進協会の協力→テントを張っての出店

・ターゲットは?
「あすか」乗客590名 少ないと100名多いと2000名→国内だけではなく国外(ロシア人客多)へも積極的にPR

・いつ売るか?
着港に合わせた出店もありだが、近隣の食堂へ誘致

・何を販売するか?
【異業種との交流をあらかじめしておき、商品を製作しておく】
リンゴの  ・アップルパイ ・加工品ジュース、ジャム
ホタテの  ・捌きたての刺身
コメ   ・リゾット・青森県産の希少米
※25%米以外の物(やくみ)を入れて炊くとコメ→加工品にかわる
ゴボウの  ・ごぼう茶
カシスの
イチゴの
ニンニクの
藍の



チームB【株式会社ミライ】
できるまでを食べる人に伝える
(対消費者用栽培工程視覚化事業)
企画概要
・食べる人がつくる(栽培・飼育)場面を知らないので、積極的発信する。
・ブログデビューでより細やかな情報を発信 ・催事出店する ・イベント等で農業に対するPR
・push型(FaceBook)タイムラインの利用              ・クイズ大会や講師
・手書きのスキャンしたお手紙を送る。(強い関係性の構築)
・お手紙をおくる(店・客) ・買い手、売り手のコミュニケーションを大切にする。顔を合わせる。
・手紙をスキャンしておくる
・作業の見える化により、同じ失敗を防ぎ効率化。
・GAPの導入


チームC【チーム土地ころがし】

大人のイベント祭
~農業を通じて、青森県民を増やそう!!~
企画概要
・農地を活用(参加費 男性:\5,000、女性:\3,000)
・イベントを企画&実行・人の送迎・FaceBookの利用
・地元農家の食材を使って、農コンを開催
・農コン(婚活的)
・農家だけではなく、地元住民を巻き込んで(音楽イベント、酒、出店等)みんなで騒いでもらう。
・友人の口コミ協力や要請・会場誘致、会場設置、当日の労働・告知の手伝い
・人と人のつながりを使わせてもらう



沖縄に冬を届けようプロジェクト

目的:津軽の雪に価値を付けて販売をします

アクション:コンテナトラックに雪とりんごを積んで沖縄に行き、消費者へ対面(直接)販売する。
・農家を集める ・りんごを売りたい人集まれ
雪の中からりんごを掘り出す方法等で楽しさを演出→親近感Face to Faceで貨客獲得
・地方創生交付金予算を活用・労力の協力
効果:毎年通販により持続して冬をお届けする。雪&りんごパック
・webでのプロモーション


<感想として>
農業×ITアイデアワークショップvol.1vol.2ともにご参加された皆様、ありがとう御座いました。
講師でご講話下さいました鈴木さん牧野さん沢山の事例紹介ありがとう御座いました。
皆さん一日を通したワークショップで大変お疲れになったとはお察し致しますが、農業課題を農家さん・関係各位の皆様と議論できたことを嬉しく思っております。
そして、このことがきっかけや気づきとなり、次々とつながりが広まっていくことを願います。



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